高負荷時に電源が突然切れたり勝手に再起動したりする原因は、温度、設定、ソフトウェア、電源、パーツ故障のどれでも起こりえます。症状だけでは原因を1つに絞れないので、手間の少ない順に確認して候補を減らしていきます。この記事はWindows 11/10を前提にしています。BTOパソコンやメーカー製PCでは、ケースを開けたりパーツを交換したりすると保証の対象外になる場合があります。手順5以降に進む前に、保証規定を確認してください。
落ち方を記録して疑う箇所の見当をつける
最初に、落ちたときの様子をメモしておきます。どんな落ち方をしたかで、疑う箇所の順番が変わるためです。記録するのは、画面や音がどう止まったか、ブルースクリーン(Windowsの停止エラー画面)が出たか、ゲームを始めてから何分後か、どのゲームで起きるか、の4点です。
| 落ち方 | 最初に疑う箇所 |
|---|---|
| 一瞬で真っ暗になりファンも止まる。そのまま再起動する、または電源ボタンを押すまで起動しない | 電源ユニットの保護機能、温度保護 |
| ブルースクリーンが出てから再起動する | OC設定、メモリ、ドライバー |
| 特定のゲームだけで起き、他の高負荷処理では起きない | ドライバー、ゲーム側の設定 |
画面だけが消えてファンは回り続け、音も出ている場合は、PCが落ちているのではありません。映像出力の問題(GPUドライバーや映像ケーブル)なので、この記事とは切り分け方が異なります。
手順1:イベントビューアーでKernel-Power 41を確認する
Win+Xキーのメニューからイベントビューアーを開き、「Windowsログ」→「システム」を表示します。落ちた時刻の前後で、ソースが「Kernel-Power」でイベントIDが41の記録を探してください。これは「正常なシャットダウンを経ずに再起動した」という記録です。落ちたという事実を示すだけで、原因は書かれていません。
判断に使うのは、このイベントの「詳細」タブにあるBugcheckCodeの値です。値が0なら、OSがエラー処理をする前に電源が途切れた可能性が高いと考えます。値が0以外なら停止エラーが起きています。同じ時刻に、ソースが「BugCheck」のイベントID 1001や「WHEA-Logger」の記録がないかも確認してください。WHEA-Loggerは、CPUやメモリ、PCIeなどのハードウェアが報告したエラーの記録です。
停止コードを画面で確認したい場合は、「システムの詳細設定」→「起動と回復」の「自動的に再起動する」のチェックを外します。次に落ちたとき、ブルースクリーンが画面に残るようになります。
分岐:BugcheckCodeが0の場合や、ログがほとんど残らない場合は、手順2(温度)と手順5(電源)を重点的に確認します。0以外の値やWHEA-Loggerのエラーが出ている場合は、手順3(OC設定)と手順4(ドライバー)を先に確認します。
手順2:CPU・GPUの温度とファンの動作を確認する
HWiNFOなどのモニタリングソフトを起動したまま、落ちるゲームをプレイします。CPU温度、GPU温度、GPUのホットスポット温度の最大値を記録してください。CPUもGPUも、上限温度に近づくと性能を落として発熱を抑えます(サーマルスロットリング)。それでも温度が下がらないと、保護のために電源を切ります。上限温度(CPUではTjmaxと呼ばれる)は製品ごとに違うので、メーカーの公式仕様で確認してください。
ケースを開けるときは、電源を切って電源ケーブルを抜いてから作業します。見るポイントは次のとおりです。CPUクーラー・GPU・ケースのファンが回っているか。簡易水冷の場合は、BIOSでポンプの回転数が読めるか。クーラーがしっかり固定されているか。ヒートシンクにほこりが詰まっていないか。組み立てたばかりのPCなら、クーラーの受熱面に保護フィルムが貼られたままになっていないかも確認します。
分岐:上限温度の近くで落ちている場合は、冷却を改善してから再テストします。温度に余裕があるのに落ちる場合は、手順3に進みます。
手順3:メモリとCPUのOC設定を定格に戻す
XMP(Intel)やEXPO(AMD)は、メモリを標準規格(JEDEC)より高い速度で動かすためのプロファイルです。メモリ単体では動作確認済みの設定でも、CPU内部のメモリコントローラーやマザーボードとの組み合わせによっては不安定になります。BIOS(UEFI)でXMP/EXPOを無効にしてください。CPUの手動OC、AMDのPBO(Precision Boost Overdrive)、マザーボードの自動OC機能もオフにします。設定を1つずつ探すより、BIOSの初期設定読み込み(メニュー名はメーカーによって異なる)を使うほうが確実です。
Intel第13・14世代Coreの一部で起きた不安定化問題について、Intelはマイクロコードの修正を含むBIOSの更新を案内しています。該当するCPUを使っている場合は、マザーボードメーカーの公式サイトで対応BIOSが出ていないか確認してください。
分岐:定格設定で落ちなくなった場合は、OC設定が原因です。XMP/EXPOを使い続けたい場合は、メモリ速度を1段階下げて安定するか試します。定格設定でも落ちる場合は、メモリ自体の不良を確かめるためにMemTest86などで検査してから手順4に進みます。
手順4:ドライバーとWindows更新の影響を確認する
落ち始めた時期と、ソフトウェアを更新した時期を突き合わせます。Windowsの更新は「設定」→「Windows Update」→「更新の履歴」で確認できます。GPUドライバーを更新した直後から落ちるようになったなら、1つ前のバージョンに戻してみてください。古いドライバーの残りが疑わしい場合は、DDU(Display Driver Uninstaller)で完全に削除してから入れ直します。チップセットドライバーは、マザーボードメーカーかAMD/Intelの公式サイトから入手してください。
分岐:ドライバーを戻して症状が消えれば、ドライバーが原因です。BugcheckCodeが0のまま何も変わらない場合、ソフトウェアが原因の可能性は低いので手順5に進みます。
手順5:電源ユニットとケーブルを点検する
電源ユニットには、流れる電流や消費電力が大きくなりすぎると出力を止める保護回路があります。高性能なGPUは、消費電力が一瞬だけ大きく跳ね上がることがあります。電源の容量が足りなかったり、電源が劣化していたりすると、このとき保護回路が働きます。その結果、BugcheckCode 0のKernel-Power 41だけがログに残る落ち方になります。
点検の前に、必ず電源を切ってコンセントを抜きます。マザーボードの24ピン、CPU補助電源、GPU補助電源が奥まで挿さっているか確認してください。12V-2x6(12VHPWRの後継規格)は、ラッチがかかり、コネクタとの間に隙間がない状態まで挿し込みます。コネクタのすぐ近くでケーブルを急な角度に曲げるのも避けてください。挿し込みが浅いと接点が発熱し、コネクタが溶けるおそれがあります。コネクタやピンに変色や溶けが見つかった場合は、そのまま使わずにGPUメーカーと電源メーカーに相談してください。
8ピンの補助電源を複数使うGPUに、1本のケーブルから二股に分かれたコネクタで給電している場合は、別々のケーブルに分けて挿し直します。プラグイン式電源のケーブルを、他社製品や同じメーカーの別モデルのものに流用してはいけません。電源側のピン配列が違うことがあり、パーツが壊れる原因になります。
あわせて、GPUメーカーが推奨する電源容量を満たしているか、電源を何年使っているかも確認してください。延長タップを他の機器と共用している場合や、UPS(無停電電源装置)の容量が足りない場合も、落ちる原因になります。簡単な切り分けとして、MSI AfterburnerなどのソフトでGPUの電力制限を下げ、同じゲームを試す方法があります。これで落ちなくなれば、電源供給を疑う根拠になります。ただし、GPU自体に問題がある可能性も残ります。電源ユニットの内部には高電圧が残るので、絶対に分解しないでください。
手順6:パーツを1つずつ入れ替えて特定する
予備のパーツがある場合や、知人から借りられる場合の手順です。BugcheckCodeが0なら、容量に余裕のある電源ユニットへの交換を最初に試します。交換するときは、ケーブルもすべて新しい電源に付属するものを使ってください。メモリは1枚ずつ挿して、挿すスロットも変えながら試します。GPUは別のGPUと交換するか、CPU内蔵グラフィックスで同じような負荷をかけて比べます。一度に複数のパーツを替えると、どれが原因だったのか分からなくなります。入れ替えは必ず1か所ずつにしてください。
直らない場合の相談先と伝える情報
購入から間もない場合は、まず購入店の初期不良対応が使えるか確認します。対応期間は店舗ごとに異なります。保証期間内であれば、パーツメーカーか国内代理店のサポートに相談してください。BTOパソコンやメーカー製PCは、購入したメーカーの窓口に相談します。自分での切り分けが難しい場合は、PC修理店に診断を依頼する方法もあります。
どこに相談する場合も、次の情報を伝えると診断が早く進みます。各パーツの型番、Kernel-Power 41のBugcheckCodeとWHEA-Loggerの記録の有無、落ちたときの温度の記録、この記事の手順のうち試したものとその結果です。「どの手順で落ち方が変わったか」は、原因を特定する大きな手がかりになります。